私たちの平和宣言【令和6年~】


令和6年

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私たちの平和宣言

 

令和6年8月6日 広島

 

~平和のために確固たる抑止力を高めることを訴えます~

 

 

 「原爆許すまじ」と唱え続けて今年で79年。今や主要国は、通常兵器と核兵器の境目のない破壊力の兵器体系を、無人機や極超音速ミサイルなどの最新装備に搭載して戦力の要にしています。

 

79年前の 今日と同じような夏の日の朝、突然広島を襲った核兵器は、日本各地の無差別空襲同様、当時の国際法でも許されない明らかな戦争犯罪であったことを忘れることは出来ません。

 

 あの惨状の中、辛うじて生き延びた父母達は、艱難辛苦(かんなんしんく)の中で私達を育て、血涙を絞って街の復興に尽されました。幼かった私達の瞼に残る風景は、焼野原となった廃墟での野辺送り(のべおくり)、僅かな糧を得る為に苦労した父母たちの姿です。思い出す度に感謝の念が溢れ、その後を継いだ私達も、その後の街の復興・発展に幾ばくかの貢献が出来たのではと自負しています。

 

一方で、「残る桜も散る桜」の例えの通り、先立つ友を見送らねばならぬ老境に入った私達が果たすべき務めは、「最初の戦争被爆地ヒロシマ」という被害者視点の主張よりも、厳しい国際情勢に対して我が国の平和と安全を守るために何を為すべきかを見定め、それをしっかりと子孫に伝えることと考えます。

 

 核分裂現象の発見からわずか7年で、我が国は核兵器の惨禍に遭いました。今ではこの技術と情報は容易に手に入り、核兵器不拡散条約(NPT)の認める5ヶ国以外の国々が核兵器を開発しています。そして核兵器の保有の有無が、政治と軍事影響力に巨大な差を生じさせています。残念ながら「核廃絶」を唱和するだけではこの差を埋め合わせることはできません。

 

 広島が縋り付く(すがりつく)「核兵器禁止条約」には知っておくべきことがあります。それは、核兵器の威嚇をする国と緊密な関係にある条約加盟国がいくつも存在することです。

 

例えば南アフリカは、条約加盟国会議でキューバ、ベネズエラと共同してロシアのウクライナ侵略非難を排除させました。他方でイスラエルだけを国際司法裁判所に提訴しました。さらにロシアの核搭載可能艦船と中国海軍との共同軍事演習を行いました。この国は、ロシアや中国に「条約加盟を推奨する」という義務を果たしていません。

 

さらに、南アフリカと、核兵器禁止条約署名国のブラジルは、ロシア、インド、中国と図って中東諸国をBRICSメンバーに加盟させ、その結果中東の戦乱が拡大し、世界の物流が脅かされています。もはや核兵器禁止条約の規定は遵守するに値せず、国益の追及を優先することが今の加盟国の実態なのです。

 

 それにも拘わらず、「ロシアの核による威嚇で核抑止力は無効になった。だから日本は核兵器禁止条約に参加すべきだ」という不可解な論理を持ち出して条約加盟を強要する広島の為政者達は、我が国の平和と安全にどう責任が取れるのでしょうか?「中、露、北」の核に晒さらされる我が国が「核兵器禁止条約」に加盟することは、直ちに日米同盟とこれに依拠する安全保障の根幹が失われることを意味します。

 

 我が国の平和と安全は、私達自身の責任と努力で達成するしかありません。この条約に「ノーベル平和賞」を授与したNATO加盟国のノルウェー政府は、核兵器禁止条約加盟国会議のオブザーバーとして「核兵器が存在する限り核兵器同盟を続ける」と明言しました。そしてスウェーデンとフィンランドは「核兵器同盟」に加盟する選択をしました。この条約の効果が皆無に近いことを証明しているようです。

 

我が国の安全を守り、また真に平和を求める被爆地の立場から、私達は単に「核廃絶」の願望に身を委ねることはありません。国連憲章51条の「個別的又は集団的自衛の固有の権利」に基づき速やかに日本国憲法9条の「戦力不保持」規定を改定し、確固たる抑止力を高めることを訴えます。

 

二度と「過ちを繰り返させない」ために。

 

平和と安全を求める被爆者たちの会